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2020.07.05 Sunday

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    桐野夏生『グロテスク』を読む

    2006.11.20 Monday

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      以前、桐野夏生を集中的に読んでいた時期があります。

      私は一人の作家の作品を好きになると、
      その人の作品ばかり続けて読む傾向があります。

      宮部みゆきの作品は、ある時期のものまで全部揃えていたし、
      林真理子と群ようこに凝っていた時期もあります。
      篠田節子や山本文緒ばかり読んでいたときもありました。

      学生時代は、前に記事にした小川洋子のほか、
      干刈あがた・増田みずこ・松浦理英子・松本侑子
      の本をコレクションしていました。

      海外モノでは、クリスティやパトリシア・コーンウエルに
      はまっていた時期もあります。

      そういう風に、熱に浮かされたように一人の作家の作品ばかりを読み、
      何かのきっかけでその熱が冷め、
      そのまままったく興味を持たなくなるか、
      新作が出ると蔵書に加える「お気に入りの作家」になるか、
      のどちらかなのですが、
      桐野夏生は私にとって、そのどちらにも入らない
      微妙な位置にいる作家です。

      『水の眠り灰の夢』ではじまる、
      女版ハードボイルド小説とでもいうべき「村野ミロ」シリーズは、
      最初は主人公に感情移入してドキドキしながら
      読みすすんでいたのですが、
      『ダーク』まで行くと、
      そのあまりにもディープで暗澹とした世界に、
      「ちょっとついていけない」感を抱いてしまいました。

      『柔らかな頬』や『OUT』は、
      ものすごく面白かったのだけれど、
      読後に残るあと味の悪さというか、
      重苦しい感じがあり、
      「もうしばらく桐野夏生は読まなくてもいいかな」
      という気にさせられました。

      そういうわけで桐野夏生は私にとって、
      新作が出ると気になるけれど、
      あえて読もうとは思わない、
      でも機会があったら読んでみたい気もする、
      という作家なのです。

      そんな桐野夏生の『グロテスク』を
      先日、読破しました。

      これを読むことになったのはまったくの偶然でした。

      保育士試験の2次試験を終えた帰り、
      電車の中で読む文庫本が欲しくて、
      たまたま入った駅構内の本屋で
      積み上げられていたのがこの本だったのです。

      (ちなみに保育士試験は、1次の学科試験には通ったものの、
      2次の実技の絵画の試験が合格点に足りず、実技のみ
      また来年再挑戦することになってしまいました。)

      『グロテスク』上下巻を買い揃え、
      電車の中で読み始めた私は、
      そのあまりの面白さに、
      その夜、子どもが寝静まってから、
      明け方までかかって
      一気に読み終えてしまいました。

      久しぶりに読んだ桐野夏生は、
      私が言うのも何ですが、
      一皮むけたというか、
      作家としてさらにパワーアップしたな、
      という印象でした。

      このストーリー展開、読ませ方は素晴らしい。

      そして小説の出来自体もさることながら、
      個人的に、こんなに心を動かされた作品には
      今まで出会ったことがありませんでした。

      私の中にある、長年わだかまっていたもの・・
      もし自分が作家だったら、もっとも表現したかったもの・・
      それをこの『グロテスク』は
      見事に描ききっていたのです。

      一度読んだ作品を、すぐにもう一度読み返すということは、
      私はあまりしないのですが、
      この『グロテスク』だけは、
      再度じっくり読み直さなければならない、という思いにかられ、
      2度目は少しずつゆっくり読みました。

      この作品は、
      「東電OL殺人事件」をモチーフにしています。

      東電に勤める女性が、渋谷円山町で殺害され、
      ネパール人男性が犯人として起訴された
      あの事件です。

      斎藤美奈子が文庫版の解説で
      「他の関連書籍が描ききれなかった被害者の
      『心の闇』をこの作品が見事に描ききった」
      という趣旨のことを書いていましたが、
      確かに、この作品を読むと、
      なぜこの事件の被害者が、
      有名大学を出て大企業に勤務するキャリア女性でありながら、
      あのような事件に遭遇しなければならなかったのか、
      ということが、一つの仮説としてではありますが、
      納得できます


      世間の耳目を集めた事件だけに関連書籍も少なくなく(中略)
      が、先にあげた関連書籍も、残念ながら、
      一般には「心の闇」と呼ばれるだろう被害者の心情に
      迫りきれているとはいえません。
      逆にいえば、その空白地帯を大胆に埋める作品として、
      『グロテスク』は構想されたといってもいいでしょう。(中略)

      ここで再び、現実の事件に立ち戻ると、『グロテスク』によって、
      はじめて私は、事件の被害者が「救われた」と感じたのでした。
      いいかえると、被害者をもみくちゃにした世間への復讐が
      なされたような気がしました。(中略) (文庫版解説より引用)


      しかし、斎藤美奈子も書いているように、
      この作品の魅力は、それだけではないのです。
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      「ヤギ肉ソーセージ」を作る

      2006.11.11 Saturday

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        以前、「ヤギ乳プリン」について書いたことがあります。
        ヤギ乳プリンを食す

        友人のHさんが作ってくれたヤギの乳から作ったプリンは絶品でした。

        そのHさんが、今年の3月に「ヤギ研究会」を立ち上げました。

        私の住む島には、ヤギ肉を食べる習慣があります。

        といっても、全島民が食べるわけではなく、
        ヤギを好んで食べるのは、島の一部の地域なのですが、
        その地域では家畜として家でヤギを飼い、
        日常的に食していたようです。

        ヤギ食が盛んな地域で育った知り合い(20代後半)に聞いてみたら、
        子どものころは、肉といえばヤギで、ヤギ乳も飲んでいたとの事。

        Hさんが島のヤギ畜産家の方に聞いたところによると、
        もっと昔はヤギ肉の専門店などもあり、
        さらに島産のヤギ肉を沖縄に出荷していたりもしたそうです。

        今は、日常的にヤギ肉を食べたり
        ヤギ乳を飲んだりしている家庭はあまりないと思いますが、
        前述の地域では、祝事の際にヤギを1頭つぶして食べる習慣が
        今も残っていますし、
        島内にはヤギ料理を食べられる店もあります。

        また、ヤギの畜産をやっている方も複数おり、
        自宅でヤギを飼っている人の数はさらに多く、
        近くの無人島で増えすぎたヤギを捕獲して連れてきて、
        町が一箇所に集めて飼っているので、
        島全体のヤギの数は、相当数になるのではないかと思われます。

        そして、このような島のヤギ事情をふまえ、
        ヤギやヤギ食文化について研究していくことは、
        島のこれからの産業振興にとって
        意味あることではないか、という観点から、
        「ヤギ研究会」が発足しました。

        活動内容については、
        その頃ヤギチーズやヤギ乳製品がブームになっており、
        沖縄の宮古島でヤギ乳を特産品にしている前例もあったことから、
        「ヤギ乳プリン」を起爆剤に、
        ヤギで観光振興をはかろうというアイデアも出たのですが、
        数回の話し合いを経て、
        「ヤギ製品を島の特産品にするための調査研究 」を
        今年度のメインテーマにすることとなりました。

        これ以外の活動内容としては、下記のものがあげられます。
                      (ヤギ研究会HPより抜粋)

        ・島内外とのヤギネットワーク作り
        ・ヤギの愛護と飼養
        ・ヤギ乳プリンなどの洋菓子・乳製品の開発
        ・ヤギ肉カレーなどの肉料理の開発


        さて、私も、このヤギ研究会の会員なので、
        先日「ヤギ肉ソーセージづくり」に参加してきました。

        ヤギ製品を特産品にする」ための試作会です。

        ヤギ研究会がソーセージを作るのは今回で2回目なのですが、
        私は初の参加です。

        以下、ソーセージづくりの模様をちょっとご紹介。

        まず、ヤギ肉をミンチします。





        最後の運動会

        2006.11.05 Sunday

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          昨年の今頃、運動会は大イベントというタイトルで
          島の小学校の運動会の盛大さについて書きましたが、
          今年もその「運動会」に行ってきました。

          前回の記事でも触れましたが、
          閉校コンサートとフラダンスフェスティバル
          私の住む地域の小学校は来年の3月で閉校してしまいます。

          そのため今年が「最後の運動会」となります。

          島の場合、小学校の運動会は地域住民の運動会でもあります。

          小学生の出場種目の他に、
          婦人会・消防団・老人クラブといった各種団体が主催する競技や
          中高生リレーや職場対抗リレー・地区対抗リレー
          未就学児の宝ひろい、といった地域住民参加の種目があるのです。

          わたしの住む地域では、この中の「地区対抗リレー」
          運動会のメインイベントになっています。

          このリレーに対する住民の思いは熱く、
          それは「伝統文化」といってもいいのではないか、
          と思えるほどです。

          「地区対抗リレー」に出場するのは地域の男性陣。
          地区ごとにチームを作って競い合うのですが、
          出場選手の年齢の合計が350歳を越えないように
          チームを編成するため
          「350歳リレー」と呼ばれています。

          運動会が毎年開かれる11月3日が近づいてくると、
          選手名簿(年齢入り)が回覧版でまわり、
          「今年の350歳リレーの優勝は何区だろうか」
          というのが、地域全体の関心ごとになってきます。

          選手たちは、運動会の2週間前くらいから、
          (場合によってはもっと早くから)
          区ごとに集まって練習を始めます。

          同時に、各地区の「応援団」も練習を開始します。

          「地区対抗リレー」は全島の小学校で行われているようですが、
          応援団があるのは私の住む地区だけです。

          地区ごとに集まった有志が、
          ダンスやパフォーマンスを行い、
          応援合戦を行うのです。

          運動会当日、もっとも人が多くなるのは
          この「350歳リレー」が行われる昼前。
          各地区ごとに設けられた観覧席はいっぱいになり、
          みなが固唾を呑んで、
          リレーの模様を見守ります。

          このリレーについてはいろいろなエピソードを聞いたことがあります。

          「昔は今よりもっと真剣勝負だったので、
          リレーで万が一転んだりすると、
          その家族はそれから1年間ずっと
          肩身の狭い思いをしなければならなかった」とか、
          「ある地区はいつも負けてばかりだったので、
          子どもたちの世代で勝てるように足の速い女性を嫁にとるようにして、
          見事優勝することができた」とか。

          このエピソードの真偽はともかくとして、
          それだけこのリレーにみんなが思いをかけていたのだ、
          ということは、わかっていただけたかと思います。


          さて、運動会当日。

          「リンク」についてのお知らせ

          2006.11.01 Wednesday

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            このたび、当ブログの「リンク」の部分を編集しました。

            今まで、相互リンクしていただいているブログを中心に、
            自分の読みたいもの・興味あるものを
            ドリコムRSSを使って、フリースペースに表示させていたのですが、
            更新情報がうまく反映されていないようだったので、
            RSSリーダーをPAIPO READER に変えました。

            ドリコムの方は、更新情報の表示が容易にできたのですが、
            PAIPO READER をフリースペースに表示させるには
            自分でHTMLを書く必要があったので、その形式は断念しました。

            代わりに、今までHPのみをのせていた「LINKS」の部分に、
            ブログリストも加えることにしたのですが、その際、
            現在も定期的に更新されているもので、
            なおかつ、相互リンクさせていただいているもののみを
            掲載させていただきました。

            もし、今回掲載したもの以外で
            リンクの希望がありましたら、
            コメント欄にてお知らせいただければと思います。

            よろしくお願いいたします。

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