2006年読書記録 ノンフィクション編

2007.02.04 Sunday

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    前々回記事「2006年読書記録・小説編」の続きです。

    今回はノンフィクション編(評論・エッセイ含む)です。

    『ラディカルに語れば・・・上野千鶴子対談集』上野千鶴子


    上野千鶴子の本はできるだけ所有したいと思っているのだが、
    学術系の本は何しろ値がはるので、なるべく古本で買うようにしている。

    本書はe-book offで購入。
    対談集だからわかりやすいかと思いきや・・
    私がなんとかついていけたのは、
    前半の2人(大沢真理、河野貴代美)との対談まで。
    後半の2人(竹村和子、足立真理子)との対談に至っては、
    「????」という状態だった。

    冒頭の大澤真理さんとの対談
    「男女共同参画社会基本法のめざすもの〜策定までのウラオモテ」は、
    なぜ「男女平等」という一般的な言葉ではなく
    「男女共同参画」なんてわけのわからない言葉がでてきたのか、
    という裏事情等、興味深い話がたくさんあった。

    二つ目の河野貴代美さんとの対談「フェミニストカウンセリングの現場」も、
    河野さんの著作を読んでいたこともあり、興味を持って読めた。

    しかし、次の竹村和子さんとの対談
    「ジェンダートラブルーアイデンティティの攪乱はどこでどのように」は、
    ジュディス・バトラーという思想家の『ジェンダー・トラブル』という著作
    をふまえたものだったので、ほとんどちんぷんかんぷん。

    そして最後の足立真理子さんとの対談
    「表象分析とポリティカルエコノミーをつなぐために」は、
    もう題名からして「?????」。
    私の頭脳では、とてもついていけなかった。

    初出一覧を見て納得。

    前者2つは、「女性施設ジャーナル」という、
    蟆I融埆性協会編集・学陽書房発行の雑誌であるのに対し、
    後者は、青土社の「現代思想」及び御茶の水書房の「アソシエ」
    という私なんか読んだこともない思想系雑誌。

    読者層が違うのだ。

    結論。
    大衆的にも、アカデミックにも語れる上野千鶴子はやっぱりすごい!


    『ザ・フェミニズム』 上野千鶴子・小倉千加子



    本書は前に図書館で借りて読んだのだが、
    文庫版がe-book offに出ていたので購入。

    さきほどの対談集と打って変わって、
    なんとわかりやすいことか。そして面白い。
    わたしのレベルはこっちってことね。

    「フェミニストとは誰の事か?」
    「林真理子はフェミニストか」
    「少子化は女の復讐か」
    「新・専業主婦志向とは?」
    等々、話題がことごとく興味をひく。

    それもそのはず、この本の前半は
    大坂で行われた公開対談がもとになっている。
    公開形式ということは、一種のエンターテイメントなんだから、
    面白くないわけない。

    後半部分は、この公開対談を受けての「密室対談」になっており、
    サブタイトルは「他のフェミニストにはとても聞かせられないこと」。
    こっちはさらに突っ込んだ話題をやりとりしており、興味深い。
    例の「東電OL」なんかの話題も出ている。

    フェミニズムの入門書では決してはないけれど、
    フェミニズムに興味のない一般の人が読んでも面白い本だと思う。


    『L文学完全読本』斎藤美奈子 編・著
    『実録 男性誌探訪』斎藤美奈子
    『物は言いよう』斎藤美奈子




    斉藤美奈子の本も全部そろえたくて、
    古本に出るか文庫になるのを待っている。
    またまたe-book offにけっこう出ていたので何冊かまとめて購入。
    『L文学完全読本』は、どこかのレビューに
    「いかにもマガジンハウスって感じの内容の薄いつくり」
    みたいなことが書いてあったのを読んだ記憶があるけど、
    ほんとにその通り。着眼点は面白いんだけど・・・。

    『実録 男性誌探訪』の方は、
    自分にイメージのある雑誌(知っている雑誌)
    について書いてあるものを読むのは面白かったけど、
    知らない雑誌だと面白みも半減。
    AERA連載記事をまとめたものというだけあって、
    こっちも軽いつくり。斬新な切り口もあまりなかった気がする。

    『物はいいよう』についてはこちら(過去記事)を。
    斎藤美奈子『物はいいよう』は実用書?!

    『ニート〜フリーターでもなく失業者でもなく』玄田 有史・曲沼 美恵




    <雅子さま>はあなたと一緒に泣いている』香山リカ


     この2冊は図書館で、たまたま目についた本を同時に借りてきた。
    以下は、ミクシィの日記に以前書いたものを少し改編したもの。

    本書は、「ニート」が増えているという社会的な状況に
    ちょっと興味があったので借りてきたのだが、
    この本を読んでも、「ニート」についての 理解が深まることはなかった。

     東大経済学部助教授がニートの現状を分析し、
    フリーライターが実際に「ニート」と呼ばれる若者に会って体験ルポを書く、
    という形式のものなのだけど、
    助教授の分析や主張には「ふむふむ」とうなずくものが あまりなかったし、
    体験ルポとうまくかみ合ってない 気がした。

    この助教授は「誰もがニートになるかもしれない」 というスタンスで、
    自分がまるでニートの味方で あるかのように書いているのだけれど、
    その書き方に違和感を覚えた。

    自身が「ニート」だった経験があってそういう書き方をしてるのならいいけれど、
    東大出身の研究者がニートにエールを送るっていうのもなんだかなあ、
    と思ったのだ。

    でもまあ、「ニート」と呼ばれる人たちがこれを読んで
    「よし!」と1歩を踏み出すこともあるのかもしれないから、
    私がとやかく言うことでもないか。

    著者は、「ニート」になる若者をこれ以上増やさないための対策の一つとして、
    兵庫県と富山県で実施されている 「14歳の職業体験」のような試みが有効ではないか、 と主張している。

    これは、14歳の中学生が1週間職業体験をするもので、 このような体験は、
    「自分でも努力すればなんとかなる」 という、
    本当の意味での自己有用感や自己効力感を 生み出すのではないかという。

    その主張には、一理あるかなあとは思うけれど、
    でも、一番の問題はそういう事ではないんじゃない? と思ってしまう。

    著者はこう書いている。
    「ニートが増えたのは豊かさの結果だ、
    親の所得も十分にあり、子どもは無理してまで 働かなくてもすむようになったのだ、
    という考え方もある。しかし私はそれもちょっと違うと思う。」

    私には違うとは思えない。
    養ってくれる親がいるから、働かなくても住むわけだ。
    これが豊かさでなくて、なんなのだろう。

    やっぱり、この本は、よくわからない。

    それにひきかえ、 一緒に借りてきた香山リカの
    『<雅子さま>はあなたと一緒に泣いている』は、
    「ふむふむ」と納得させられる記述ばかりだった。

    これは「<雅子さま>をひとつの手がかりとして
    現代の女性が直面している問題について考えるために 書かれたもの」
    なのだが、その分析には説得力があり、
    読み物としても、とても面白かった。

     その中にこんな記述があった。

    「現代における親と子の変化、 それはひとことで言えば
    『親は親、子どもは子ども、親が子どもの面倒を見る、
    という依存関係が年齢に変わらなくいつまでも続く』 ということである」

    「ニート」の問題は、 むしろこういう面から論じられるべきなのでないか?


    『私は、産みたい』野田聖子



     私は自民党が好きではないので野田聖子さんにも興味はなかったのだが、
    以前に友人がこの本読んでいたのを見て、ちょっと興味を持ったので
    図書館で借りてみた。

     感想。不妊治療の大変さももちろん伝わってきたが、
    それ以上に、「政治家の仕事って、大半は
    次の選挙に向けての支援者へのフォローなんだなあ」
    という印象が色濃く残った。

    いや、もちろん現実はそうではないのかもしれないけれど。
    この本からは、そういう印象を受けてしまったという事だ。

    政治家なんだから、どうせ
    「不妊治療」をテーマにするなら、
    こういう、エッセイ的なものではなく、
    もっと政治家的な視点から
    書けば良かったのでは?
    と思ってしまった。

    あるいは、個人的なエッセイとして書くなら、
    もう少し別の書き方があったのではないか?
    という気がする。


    『小説を書きたがる人々』久美沙織



     これも、図書館で目について借りてきた本。

    私もかつて「小説を書きたがる人々」だったので・・
    (といっても、小学校高学年から中学にかけてのはるか昔のことだけど)

    で、面白いかなあとおもったら、あまり面白くなかった。
    着眼点は良かったと思うんだけど・・・。

    小説を書きたがる人を分類し、その特徴をあげ、
    さらにそれぞれのタイプごとのストーリーがついているのだが、
    この小説部分に最初は拒絶反応が出てしまって困った。

    この人は、コバルト小説(少女小説)で名を成した作家なのだが、
    どうも私はコバルト系の文体ってどうしてもなじめないのだった。

    最後には、この文体にもなれてきて、
    まあそれなりに面白いところもあるなあ、と思えるようになったけど。


    『お母さんは勉強を教えないで
    −子どもの学習に一番大切なこと』ミオ塾主宰・見尾三保子




    以前に友人が借りていたのを思い出して、
    図書館で目に付いたので借りてみた。

    長年、個人塾で生徒たちを教えてきた教師の書いた本なのだが、
    「ほんものの勉強」とはこういうことなんだなあ、と関心させられた。

    小学生から高校生までの教え子に、じっくり時間をかけて、
    本質を理解させていくそのやり方と、
    子どもの力を信じどの子も認めるその姿勢が、素晴らしいと思った。

    私がやってきた勉強なんて、これに比べると付け焼刃みたいな、
    あんまり意味のないものだったなあと思った。
    私は学校の成績は良い方だったけれど、
    それは「暗記」が得意だったからで、
    「本物の理解力」が実についていたかというと
    かなり怪しい。

    来年からわが子もいよいよ小学生。

    わが子に「本物の理解力」をつけさせてやるなんてことは、
    自分にはとてもできないけど、
    とりあえず、次の4つの提言だけは心がけてみようか。

    1. 教科書をとっておいて「反復」すること
    2. 字を丁寧に、ノートをきれいに書かせること
    3. 「子どもにまかせて待つ」こと
    4. 本好きの子にすること


    『輝ける子―100メートルを10秒で走れと言われてもさ、
    いっくら努力しても走れない奴っているじゃん 』明橋大二




    同じ著者の『子育てハッピーアドバイス』を読んだことがあり、
    そこに書いてある考え方に共感したので、
    図書館でこの本をみかけて借りてみた。

    以前読んだ、佐々木正美『子どもへのまなざし』にも
    同じようなことが書いてあったなあと思ったが、
    この本の方がページ数が少なくて、読みやすく、
    手にとりやすいのではないかと思った。

    アマゾンのレビューを見てみると、多くの人がこの本に心を動かされている。
    「心理学的な本を読んだことのない自分にとっては目から鱗」と書いている方もいた。

    子育てにおいて何が大切か、わかっていてもときどき忘れそうになる。
    そんなときに読み返すのにいい本だと思った。

    ところで、「100メートルを10秒で走れと言われてもさ、
    いっくら努力しても走れない奴」・・・それは私だ。

    私は運動が苦手で、小学校時代はそれで辛い思いをした。

    私の小学校は「体育強化校」だったので、
    運動のできない子=ダメ、みたいなイメージがあったのだ。

    そういうコンプレックスを覆したかったのか、
    中学ではなぜか器械体操部に入ってしまい、
    ものすご〜く努力したけど、全然上達しなくて、
    またまた辛い思いをしてしまった。

    そのころの私の座右の銘「努力」

    誰か「いっくら努力したってダメなことだってあるんだよ。」
    って言ってくれればよかったのに・・・(笑)




    以上で、2006年読書記録は終了です。

    JUGEMにレビュー機能ができたようなので、
    今年度は、こんな風に一気に書くのではなく、
    読後に1冊ずつ、記事にしていきたいと思います。

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    2017.05.14 Sunday

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      コメント
      フナリンさま☆

      こんにちは(o^-^o)

      ごぶさたしております。1万年堂出版です♪


      『子育てハッピーアドバイス』シリーズをご愛読いただき、ありがとうございますっ・*:.。☆..。.(´∀`人)

      このたび1万年堂出版では、シリーズの最新刊
      『子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わる ほめ方・叱り方』を発刊いたしました(≧∇≦)b

      「毎日イライラどなってばかり……」
      「言うことを聞かない子どもを、どう叱ったら?」
      叱り方に悩むママ、パパ必見!
      そして、すてきなほめ方のコツを、明橋先生が伝授します。

      詳しくは、こちらをどうぞ。
      http://www.10000nen.com/book/HAhomeshika/HAhomeshika.htm

      よろしければ、また「ハッピー仲間」に遊びにきてくださいね~~ヾ(。・∀・。)
      http://ameblo.jp/10000nen/(引っ越しました♪)
      こんにちは!! 1万年堂出版のトシです。
      いつも『子育てハッピーアドバイス』シリーズを読んで下さり、
      ありがとうございます。

      さて、「ハッピー仲間」さんに、とっておき、ホヤホヤの情報です!

      このたび、『ハッピーアドバイス』の最新刊
      『子育てハッピーアドバイス 知っててよかった 小児科の巻』が出ました!
      詳しくは、こちらをどうぞ。
      http://spn61170-02.hontsuna.net/article/2206420.html

      また、この発刊を記念して、新宿・紀伊國屋サザンシアターにて、
      著者のトーク&サイン会が行われます!
      申し込み方法など、詳しくはこちらをご覧ください。
      http://spn61170-02.hontsuna.net/article/2206422.html
      • by トシ
      • 2009/05/28 10:49 AM
      トシさんへ

      コメント、ありがとうございました。さっそくブログ、見させていただきました。

      本を出版されるだけでなく、このようなコミュニティを作られて、素晴らしいですね!

      私の管理しているもう1つのブログの方で、近々紹介させていただこうかと思っています。

      よろしくお願いします。
      • by トシさんへ←フナリン
      • 2009/05/17 8:43 AM
      あ!

      さっきURLを書き忘れました。

      http://spn61170-02.hontsuna.net/article/2203168.html

      です。

      もしよろしければのぞきに来てください(^^)
      • by トシ
      • 2009/05/14 4:33 PM
      フナリン様

      はじめまして。
      1万年堂出版のトシと申します。

      『輝ける子―100メートルを10秒で走れと言われてもさ、
      いっくら努力しても走れない奴っているじゃん 』

      をお読みくださり有り難うございます!!

      実体験を通して、

      この本のタイトルを理解されているんですね!

      今後もどうぞ、よろしくお願いいたします(^^)ノシ


      1万年堂出版のブログで紹介させていただきました。

      URL



      子育てに頑張る皆さんの、
      憩いの場を目指していますので、
      ぜひ遊びに来てください(^。^)ノシ
      • by トシ
      • 2009/05/14 4:26 PM
      >naturelさんへ

      私も最近、小説よりもノンフィクションの方が
      好みになってきました。
      小説は、ほんとに好きな作家の作品だけでいいかなあと。

      なので、今年はノンフィクション系の読書量が
      増えそうです。

      明橋さんの本、売れてるんですね〜
      わかりやすさと手にとりやすさ(イラストがかわいい)
      がヒットの要因なのかな。

      香山リカさんの著作は、深くつっこんで
      書いてあるわけではないけれど、
      時代の興味にあわせて、読みたいトピックを
      うまくとらえてる気がします。
      「老後がこわい」も、読んでみたいです。

      レビュー記事、また書きますね〜
      naturelさんにそういっていただけると
      励みになります。
      (でも、適当に読んで適当に書いてるので、
      選書選びの参考にはならないかも・・笑)
      • by aura*さんへ←フナリン
      • 2007/02/20 6:09 AM
      ワタシは基本的に“可愛げのない現実主義者”なので、
      やはり「小説編」よりも「ノンフィクション編」のほうが、
      読んでいて面白かったです。
      感想にも共感できる部分が多いし、
      何となくもし自分が読んだとしても同じような感想を抱くのではないかなと思ったり…。

      香山リカさんは以前から割りと気になっている人物で、
      この方の「老後がこわい」は途中まで読みましたが、
      そこそこ面白い内容でした。
      『<雅子さま>は〜』も面白そうです。
      それから明橋さんの本は、今本当に売れに売れています。
      これまでにも多数の著作を発表されていますが、
      ここに来てお母さま方からの支持&人気を不動のものに
      したのではないかと思ってしまうぐらいの勢いですよ。

      店でたくさんの本を売っていて、
      その本の存在はよく知っていても、
      またその本に興味をもったとしても、
      時間に流され、結局ほとんど何も読まずに日々が過ぎていきます。

      自分の選書の参考にもなり、とても嬉しいので
      (ついでにもう読んだ気にもなれたりするので一石二鳥?)
      ぜひこれからもレビュー記事を書いてくださいね。
      楽しみにしてます!
      長くなってスミマセン!
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      今日のハッピー仲間さんは フナリンさん   ↓ http://funarin.jugem.jp/?eid=50l です。 『輝ける子―100メートルを10秒で走れと言われてもさ、 いっくら努力しても走れない奴っているじゃん 』 を読んでくださったのですね!同じ著者の『子育てハッピーアドバ
      • 集まれ!子育てハッピー仲間
      • 2009/05/14 4:26 PM
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