人形劇団プーク『ピンクのドラゴン』を観る

2006.10.26 Thursday

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    ドラゴンドラゴン舞台

    島暮らしは、自然環境という点では恵まれているものの、
    離島ならではの不便さも、もちろんあります。

    たとえば、ショッピングが楽しめない点。

    スーパーや商店はけっこうあるので、
    えり好みしなければ必要なものはなんでも手に入るのですが、
    ショッピングモールやディスカウントショップあるいは
    大型書店や古本屋などに行って、
    ぶらぶらといろんなものを見てまわる楽しみが、
    ここにはないのです。

    それから、文化的娯楽を享受しにくい点。

    たとえば東京近郊に住んでいれば、
    演劇を観たり、映画を観たり、
    コンサートに行ったりということも容易にできますが、
    島に住んでいると交通費がネックになって、
    気軽に、そのような娯楽を楽しむことができません。

    前者については、島に来た当初は、
    上京の際に買い物に出かけるのが、とても楽しみでした。

    けれど最近は、「本土」で買い物をしようとすると、
    モノが多すぎて選ぶのが面倒くさく、
    時間のあるときにネットなどで、
    じっくりと自分のほしいものを探すほうがいい、
    と思うようになってきました。

    後者については、不便さを感じることが、
    ときどきあります。

    私は昔、演劇をやっていたので、
    今もお芝居に関わっている友人・知人が何人かおり、
    彼らの出演作や演出作品を観に行きたいなあと思うのですが、
    なかなか実現できません。

    それから、観たいなあと思う映画を
    気軽に観にいくことができない、
    というのも、少々さびしい気がします。

    まあ、実際にはたとえ本土に住んでいても、
    そんなに頻繁に映画や演劇を観に行くことはないと思うのですが、
    「観ようと思えばいつでも観れる」という環境は、
    実はけっこう有難いものだったのだと、
    こちらへ来て思うようになりました。

    そういうわけで私は、
    せめて身近なところで「文化的」なものに触れようと、
    島でその種のイベントが開かれると、
    できるだけ参加するようにしています。

    幸いなことに私の住む島では、
    ジャンルは限られているものの
    「文化的な催し」というものが意外に多いのです。

    島の伝統芸能の太鼓や踊りを観る機会は多々ありますし、
    團伊久磨先生の別荘が島にある関係で、
    有名な演奏家や歌手の方々によるクラシック・コンサートが
    毎年開かれます。

    また島には、「生の舞台芸術」を親子で楽しむための会もあります。

    「おやこ劇場」という会員制の会が、
    全国各地にあるのを、みなさんはご存知でしょうか。

    今から30数年前、
    テレビその他のマスメディアが変化し、
    子どもたちの文化状況が変わってしまうことを危惧した
    福岡県の青年と親が
    「子どもたちに生の舞台芸術を届けよう。
    そして、自主的な活動を通じて子育ての輪をつくろう」
    とはじめた活動が、
    全国に賛同の輪として広がりったものなのだそうです。

    その流れを受けて、
    わたしの島でも、19年ほど前におやこ劇場が設立され、
    現在に到っています。

    先日、この「おやこ劇場」の主催する
    「ピンクのドラゴン」というお芝居を
    子どもたちと一緒に観てきました。

    会場は、町の小学校の体育館。
    人形劇団「プーク」による公演です。

    「プーク」は、76年の歴史を誇る老舗の人形劇団で、
    数々の賞を受賞しています。

    「プーク」の名前を知らなくても、
    関連会社の「スタジオノーヴァ」製作の人形や小道具は、
    NHK教育テレビの子ども番組を見たことがある方なら誰でも
    一度は目にしたことがあるはず。
    (興味のある方はこちらを→スタジオノーヴァの最近の仕事

    「人形劇団」だというので、
    NHK教育テレビでやっている人形劇
    (たとえば「ざわざわ森のがんこちゃん」「バケルノ小学校ヒュードロ組」
    といった番組。どちらも「小学生低学年用の生活指導(道徳)番組」で、
    スタジオノーヴァが人形操演・美術を担当しています)

    のようなものを舞台上でやるのかと思っていたら、
    全然違いました。

    『ピンクのドラゴン』の登場人物は8人。

    6歳のやんちゃな女の子ハッチ。
    ハッチの空想が生み出した、弱虫のピンクのドラゴン。

    ピンクのドラゴンを一人前のドラゴンに育てようとする、
    大きくて怖いお父さんドラゴン。

    ついついハッチに口うるさく言ってしまう「主夫」のお父さん。
    仕事に忙しくハッチにあまりかまってやれないお母さん。
    (お父さんとお母さんの立場が、逆転しています)

    ハッチの誕生会に招かれた、
    おばさんとおじいちゃんとおばあちゃん。

    この中で人形は、ハッチとピンクのドラゴンだけ。

    お父さんドラゴンは、着ぐるみ、
    他の登場人物は、人形みたいな扮装をした俳優さんたちが演じます。
    (かつらをかぶり、鼻やめがねなどをつけている)

    俳優さんたちは、
    全員が、そろいの紫の「黒子」のような衣装を着ています。

    普通「黒子」というと、顔もすっぽり布でおおわれて、
    表情が見えないものですが、
    プークの俳優さんたちは、衣装は「黒子」みたいだけれど、
    顔は隠していません。

    着ぐるみも、普通は顔は見えないものですが、
    ここの着ぐるみは、顔がすっかり見える形になっています。

    最初は、このような形態にちょっとだけ違和感を感じました。

    舞台上では、人形を持った俳優さんと、
    おもちゃみたいなかつらをかぶった俳優さんが
    会話しているのですから。

    けれど、観ていくうちにそんなことはまったく気にならなくなり、
    話にひきこまれていきました。

    今日はハッチの6歳の誕生日。
    パパは朝から、誕生パーティーの支度で大忙し。
    ママは、「早く帰る」と約束したのに、
    なかなかかえってきません。

    そこへ1本の電話が。
    雪のため飛行機が欠航して、
    ママが仕事先から帰って来れないというのです。

    泣きつかれて眠ってしまったハッチの前に、
    小さなピンクのドラゴンが現れます。

    強くなれない、こわがりやのドラゴン。

    ここから、ハッチとピンクのドラゴンと、
    大きなお父さんドラゴンの
    ワクワクするお話が展開されます。

    そしてラストは、ちょっとだけホロリとさせられました。

    眠りから覚めたハッチは大人たちに
    ドラゴンのことを話しますが、誰も信じてくれません。

    そこへ、ピンクのドラゴンが再び現れます。

    ハッチはそばにいたおばあちゃんに喜びを伝えます。
    「ほら、おばあちゃん、ドラゴンよ、見えるでしょう」

    おばあちゃんは言いました。
    「見えないよ。でもお前には見えるんだね。
    おばあちゃんも小さい頃にはみえたような気がするよ」

    膝に抱いていた息子は舞台に釘付け。
    (娘は離れて友達と一緒に観ていました)
    大きなドラゴンが出てくるところではちょっと怖がり、
    きれいな照明がライトアップされたところでは
    「わあ」と驚き、最後まで集中してみていました。

    2歳の息子が飽きずに最後まで観られたのですから、
    子どもむけのお芝居としての完成度は
    高かったのではないかと思います。

    印象的だったのは、劇団員の方々の笑顔。
    その自然な笑顔を見ていると、
    それだけでとてもあたたかい気持ちになれました。

    ところで、なぜ、人形を操る俳優さんたちは、顔を隠さないのでしょうか。
    そして、登場人物を全部人形にすることもできただろうに、
    なぜそうしなかったのでしょうか。

    前者については、
    その方が、人形に「表情」が出てくるからかもしれないと思いました。
    俳優さんの顔が背後に見えているおかげで、
    感情移入がしやすくなり、
    人形がより生き生きして見えるのかもしれない、と。

    後者については、最初「予算の関係かな」と思いましたが、
    後で、ハッチとピンクドラゴンの2人を際立たせるための
    演出かもしれないな、と思い直しました。

    大人をすべて人間が演じ、子どもを人形にすることで、
    子どもの世界と大人の世界を対比させたかったのでは、と。

    パパのように怒ったり、
    ママのように約束を破ったりする
    理不尽な大人たち。

    その中で、「お前はみたんだね」と
    やさしく肯定してくれたおばあちゃん。

    そんなおばあちゃんのような大人でありたいと、
    現実には理不尽な大人である私は思いました。





















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    2017.05.14 Sunday

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      コメント
      ピヨピヨへ

      そうか、そうだよね、私も早とちり。
      人形劇団もいろいろあるもんね。

      あびの実は去年から入ってるんだ。
      次回公演決まったら教えるね〜
      • by ピヨピヨへ←フナリン
      • 2006/10/29 12:27 AM
      やぎ丸ちゃんへ

      いえいえ、そんな。私はたいしたことは
      やってないので・・(笑)
      Yくんが楽しめてよかった♪

      そうだよね。確かに小さい子も
      集中してたよね。
      演出方法の勝利かな。
      (プークの他の演目も同じようなのか、気になるところ)
      • by やぎ丸さんへ←フナリン
      • 2006/10/29 12:24 AM
      あぁ!!ごめんごめん!!
      ピンクのドラゴンは見たことがないけれど、こういう劇団の
      人形劇など、いろいろ見る機会があったの♪
      懐かしく思い出しながら、一人納得して書いてしまった(汗

      そうか!あびの実入ったんだね☆
      情報待ってます〜☆
      • by ピヨピヨ
      • 2006/10/28 8:12 AM
      フナリン いろいろお疲れ様でした。

      「ガンコちゃん」や「バケルノの小学校」もここが関わってたんだね。どうりで、スーパーあさぬまの前で、ピンクのドラゴンを見た時、「ガンコちゃんみたいだね〜」とうちの子が言ってたわ。納得。


      私は人形を操る俳優さんの顔が見えるこういうタイプの人形劇ははじめてみたけど、演じてる表情がわかるのってかなり面白いと思う。
      会場に来ていた子ども達も、小さい子がかなりいたと思うけど、どの子もみんなしっかり観劇できたのはストーリーが面白いのはもちろんのこと、演出方法もよかったからじゃないかな。

      うちの子は最後ほうの展開が??だったみたいだけど、かなり楽しめたみたいだよ♪

      • by やぎ丸
      • 2006/10/28 8:01 AM
      ピヨピヨへ

      そっかあ、むこうでプークを観たことがあるんだ。
      残念だったね〜。

      今度またおすすめの演目があったら、
      声かけるね♪
      • by ピヨピヨへ←フナリン
      • 2006/10/27 11:27 PM
      すっかり忘れてしまっていて、観に行けませんでした。
      向こうに住んでいたときには、学校・幼稚園ごとに親も一緒に見た記憶もあるなぁ〜。
      すごくおもしろかった!!
      こちらに来てから、あびの実は知っているものの、他の行事と重なることも多くて、会員になりそびれてます。
      三男には、まだ見せたことがないので、今回のような子供向けがあったら、行きたいな☆
      • by ピヨピヨ
      • 2006/10/27 9:37 PM
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